第7章 心音に触れられない
『文句じゃないもん!』
「気持ちがわかんないでしょって嘆きだよ!」
「なら、どうすればいい。あいつのアルバムめくった分、おまえのアルバムもめくればいいのか?」
「ルーチンワークみたいに愛されたって嬉しくないよ!ユキは全然わかってない!」
「わかってないのはそっちでしょ」
百の反発に、天が冷たく言い返す。
『やめてよ天!!』
零が天に歯向かえば、天は呆れたように肩をすくめてから続けた。
「百さん、百さん、って…。キミさ、小さい頃将来の約束までした女の子が、久しぶりに会ったら他の男とイチャイチャくっついてるのを目前にした人の気持ち、考えたことある?」
『なっ……!?』
天の言葉に、その場の空気が凍りついた。
百が慌てて零から体を離せば、楽が天に囁くように言った。
「改めて聞くと、おまえかわいそうだな」
「そうでしょう。優しくして」
「よしよし」
『て……っ、天が、ボクの前から消えてって言ったからでしょう!!それにイチャイチャなんかしてないし…っ!!』
「ボクがどんな気持ちでそう言ったと思う?そのことについて改めて話そう、って勇気を出してこの前食事に誘ったのに、百さんが心配だからって恋敵に譲ったボクの気持ち」
『そ……それは……っ……!』
「天…っ!その節は本当にごめん……」
百がしゅん、としながら謝れば、龍が慌てて仲裁に入る。
「天っ…落ち着いて…!話が脱線しちゃってるから!!天も零さんも、せっかく久しぶりに会って仲直りできたんだから、喧嘩しないで!! 」
割って入る龍に、天は面白くなさそうに零から視線を逸らした。龍は千に向かって続ける。
「千さんも百さんも仲直りして。千さん、Re:valeの相方は、百さんから替えるつもりはないんでしょう?」
「ないよ」
「じゃあ、もう安心だ。心配はなくなりました。そうですよね、百さん」
「……そうだけど……」
そう答えた百は、なんだか先程より落ち込み具合に拍車がかかっているように見える。千は、百を慰めるように言葉を紡いだ。