第7章 心音に触れられない
「……本物のRe:valeじゃないって
どういうことですか……?」
百の言葉に、陸と、そして天と一織の表情が強張る。百は自嘲気味に笑ってから、続けた。
「十年来の幼馴染みたいに……夫婦みたいに振る舞ってるけど、本当はそんなんじゃない。オレはユキの……ユキさんのファンだったんだ」
そこから、百は千との出会い、そして今のRe:valeに至るまでの出来事を話した。
その話を聞いた陸たちは、しばらく言葉を発せずにいる。そんななか始めに沈黙を破ったのは、天だった。
「でも、今のRe:valeはあなたが、あなたが千さんと掴んだ夢でしょう?」
「…はは…。オレもそう思ってた。Re:valeは千とオレだって。だけど、ユキは相方をまだ探してる。5周年記念までに見つけて欲しいって、電話してるの聞いたんだ。5年間一緒にやらせてって、オレはユキにお願いした。……ねえ、わかるでしょ?」
百の手は微かに震えていて、零はそれを抑えるようにぎゅ、と強く握り締める。少しの間を置いて、百が震える声で言った。
「……5周年記念で、オレは期限切れなんだよ。……少なくとも、ユキはそう思ってる」
瞬間、ガチャ、と勢いよく楽屋の扉が開く。そこに立っていたのは、千だった。