第7章 心音に触れられない
『……百……』
「じゃあ、どうしてユキさんに来るなって言ったんです」
天の問いに、百は言いづらそうに口元を歪めた。
「……それは……」
「千さんと揉めたの?」
「付き添おうとした千さんに、百さんが怒鳴って、飛び出したんだ。だから零が追いかけて、すぐにボクも追いかけて」
「怒鳴るなんて……あんなに仲良しなのに?」
「……でしょ。そうでしょ?ユキとはラブラブだから、みんなも心配しないで。ユキには謝っておくから。ユキはジェントルメンだから、謝ったら許してくれるから……ちょっと、一人にしてください」
「嫌です」
『ちょっと、陸……!』
「陸、空気読もうー……」
「話してください!オレもこの間まで一人で悩んでいろいろ考えてました。でも、話した方がすっきりすることもあります!だから百さんも、一人で悩まないで。無理に笑わないでくだだい」
「あ……あはは……。……笑ってないとさ、笑ってないと、不安で押しつぶされそうになる。だって、オレは……」
絞り出すような声で言ってから、百は握っていた零の左手をぎゅっと強く握り返した。
「……オレは、本物のRe:valeじゃないんだ」