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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて




「え!零、もしかして帰ろうとしてる!?」

『当たり前でしょ』

「ユキがいる時は泊まっていくのに!?オレしかいない時は泊まっていけないっていうの!?」

『寝てる間に、モモ狼に何かされたら嫌だもん』

「しないよ!!ひどい!!モモ狼は、ちゃんと待てもお預けもできるもん!!」

『はいはい』

「本当だよ!あ、それにまだ写メ撮ってない!今日はオレの言うこと聞いてくれるんでしょ!?」

『……待って。側にいるね、とは言ったけど、言うこと聞くとか言ってないし!何当たり前のように話盛ってんの!?』

「どっちも同じだろ!はい、今夜は帰しませーん」


百はそういって、零の手元から着替えを奪い取った。


『返せバカ!!』

「だーめ。あ!ちゅーしてくれたら返してあげてもいいよ?」


そういって百は着替えを後ろに隠してから、人差し指を唇にあててウインクして見せた。


『うざ……』

「ライブでやるとすっごい歓声あがるのに……」


しゅん、と露骨に落ち込む百の姿に、零ははあ、とため息をついてから洗面台へと向かった。


「どこ行くの?」

『……歯磨き』


零の答えに、百の顔はパアア!と明るくなる。
とことん自分は百に甘いなあ、なんて自嘲気味に笑ってから、零は二度目のため息を吐いたのだった。

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