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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて



ドライヤーのスイッチを切って、コンセントを延長コードから引き抜く。ぐるぐるとドライヤーの本体にコードを巻きつけていれば、百が前を向いたまま、口を開いた。


「……オレ、きっと今、世界で一番幸せなんだ。自信ある」

『何、いきなり』


ぐるぐるとコードを巻きつけながら零が問えば、百はこちらを向くことなく続けた。


「だって、零がこうやってオレの側にいてくれてるんだよ?雨の中迎えに来てくれて、彼シャツ着てくれて、髪も乾かしてくれるんだよ。超ウルトラハッピーキングダムじゃん!なのに……なんで…………っなんで、」





――――「声が、出ないんだろう」





そう言った百の背中が、ひどく寂しげで。


胸が締め付けられる。

苦しくて、息がしづらい。


――私がこんなにつらいなら。

ねえ、百。


あなたは今、どれだけ辛いの――?



「……もうすぐ、約束の期限なんだ。零にも昔話したろ?」



百の言葉に、零は昔、百と千から聞いたRe:valeの結成話を思い出した。



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