第6章 声を聞かせて
『百ー!出たよー!早くシャワー浴びて!』
「わかったー!」
リビングに向かえば、百はせっせと片付けをしている。さっき零の言った”女の子もろくに呼べないよ”という言葉を気にしているのだろうか。
それにしても片付けしてる姿が似合わない奴だな、なんて思いながら眺めていれば、こちらに気付いた百が、驚いたように目を見開いた。
「………!」
『百も早くシャワー浴びてきなよ、風邪ひく』
「………想像以上にヤバいやつだよ、これ……!」
『何が?』
「……零。」
『何?』
「………超ーーーーっっカワイイ!!カワイイ!!カワイイ!!」
”かわいい”を連発する百。さすがにそんなに言われたら、誰だって恥ずかしくなる。零は頬をほんのり赤らめながら、ぷい、っとそっぽを向いた。
「写メ撮っていい!?待ち受けにしてユキに自慢する!!」
『ばかなこと言ってないで早くシャワー浴びてきてよ!!』
「やだ!写メ撮っていいって言うまでシャワー浴びない!」
『わかった!わかったから早く浴びてきて!写メはその後ね!』
「やったーっ!!」
零の答えに、えらく満足そうな表情で百はお風呂場へと駆けて行った。