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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて






『相変わらずきったないなぁ……ちょっとは片付けしたら?』


いつも通り散らかっている部屋を見渡してから、零が言った。
サッカーボールやら、ももりんのペットボトルやらがその辺に転がっていて、脱いだままの服がところどころに散らばっている。


「いいのいいの!零が片付けてくれるから!」

『……はあ。こんな汚い部屋じゃ、女の子もろくに呼べないよ』

「呼ぶ気ないから大丈夫!モモちゃんは零だけでお腹いっぱいだから!」


百は言いながら、クローゼットをあさっている。


「これならサイズいい感じじゃない!?ちょっと短いかもしれないけど、モモちゃんのためだと思って我慢して!」


百がそういって投げつけてきたのは、百サイズの白いシャツだった。


『これ、絶対狙ってるでしょ』

「え?なんのこと? ほら早く早く~!シャワー浴びてこれに着替えてきて!念願の彼シャツってやつ!」

『……何が、なんのこと?だよ』

「いいからいいから!」

『ていうか、百が先に入りなよ!』

「だーめ!零が先!」


百に促されて、零は無理矢理背中を押されてお風呂場へ。
シャワーを浴びてから、百が出してくれたバスタオルで体を拭けば、百からいつも香ってくる柔軟剤の匂いが鼻いっぱいに広がった。

そして、百に渡されたシャツに着替える。

すっぽりと太ももまで隠れる絶妙なサイズ感は、計算しているんじゃないかと思えるほどだった。


『……百の前でこんな格好して、何の意味が……』


鏡に映る自分を見てから、ため息と共に独り言をつぶやく。


――でも。

おかりんの言ってた通り、百が元気になってくれるなら。もうこの際、なんでもいいか。


そんなことを考えながら、零はお風呂場のドアを開けた。



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