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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて






「零、天と一緒にいたんじゃなかったの?」


車の中で、髪の毛をわしゃわしゃと拭きながら百が訊ねる。
同じく髪の毛をわしゃわしゃ拭きながら、百の隣に座っている零が答えた。


『うん。百のことが心配なら、行ってきなって言ってくれた』

「天……お前って奴は……!オレはいい後輩を持ったなあ……」


うう、と顔を歪める百。


『でしょ!そんな後輩のためにも、早く元気な百に戻ってね!』

「うん!……来てくれてありがとう、零。すっごい嬉しい」


そういって、百は優しく笑った。

―――なんだかその笑顔が、やたらと大人びて見えて。
心臓が、きゅっとなる。



『……うん』


――なんだか、頬が熱いような。
これはおかりんの云う通り、風邪を引いたかもしれない。


零がひやひやしていれば、百が続ける。


「ねえ零、今日はオレと一緒にいてくれる?」

『当たり前じゃん。そのために来たんだもん!』

「やったー!おかりん、ごめん……。明日のフ○イデーの表紙は、オレと零との熱ーいぶっちゅー写真かも……!」

「……はあ。百くんと零ちゃんの熱愛報道なんて、出過ぎてみんな飽きてますよ。ぶっちゅー写真だって、今更かよ、くらいにしかなりませんよ」

「ひどい!!まだ始まってもいないのに!?もうみんな飽きちゃってるの!?」

「だから、安心してぶっちゅーでもなんでもしてきたらいいですよ!」

『ちょっとおかりん!?それマネージャーが言うことなの!?』

「この際、百くんが元気になるなら何でもいいです!」

『うわあ……!』

「ハニー、今夜は帰さないぜ?モモちゃん、頑張っちゃうよ!!」

『…帰ろうかな』

「あーっ!うそうそ、冗談だって!ちゃんといい子にお預けしてるから!帰らないで~~!」



そんな賑やかなやり取りをしていれば、あっという間に百の住んでいるマンションに到着した。笑顔で「頑張ってね」と手を振るおかりんと別れ、二人は百の部屋へと帰って行った。

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