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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて




天と別れてから、零は土砂降りのなか、なんとかタクシーを拾って百が行っている病院まで向かっていた。

百に電話をしても、直留守に繋がってしまう。それを何度か繰り返していれば、千からの電話が鳴った。


『……もしもし、千ちゃん!?病院終わったの!?』

≪ああ、今おかりんから連絡来たよ。何でもなかったみたいだ≫

『……そう。じゃあ、やっぱり……』

≪精神的なものだろうね。零、最近モモと喧嘩したりした?≫

『ううん、してないよ。いつも通り、全然普通』

≪そうか……≫

『何があったんだろ……さっき、百から病院行く前に電話あったの』

≪なんて?≫

『何か言いたげだったんだけど、なんでもないって、切られちゃった』

≪……。零、時間が許す限り、モモの側にいてやってくれないか?≫

『え?うん、私でよければ…。でも、千ちゃんも一緒じゃだめなの?』

≪僕もできればそうしたいんだけど。今は難しそうだ。さっきも食事に誘ったら断られた≫

『え!?百が千ちゃんの誘いを断ったの!?ありえない……』

≪でしょ。だから、今は僕といたくないのかなって。モモのこと頼めるのなんて、零しかいないから。頼んでもいいか?≫

『勿論だよ。今、百はどこにいるの?』

≪まだ病院にいると思う≫

『わかった!ありがと、千ちゃん』


電話を切ってから、タクシーを飛ばしてもらい、ものの十分程度で病院に到着した。この時間では一般外来は閉まっている。夜間入口の方へ駆けていけば、丁度、入口から出てくる百と岡崎の姿が見えた。


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