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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第6章 声を聞かせて




Re:valeの控室を出てから、零は自分の控室に戻る。携帯を確認すれば、天から待ち合わせ場所のラビチャが入っていて、彼はもう既に到着しているようだった。


<今から向かうね>


と送信すれば、すぐに既読がついて、”了解”と文字のついたうさぎのスタンプが送られてくる。

天と二人で食事をするのなんて、本当にいつぶりだろう。
小さい頃は、よく親に隠れて、お小遣いでこっそりドーナツを買って食べたりしていたっけ。

久しぶりで、嬉しいはずなのに。さっきまでは、楽しみにしていたはずなのに。
どこか心が晴れなくて、どんよりしていた。


零は浮かない気分のまま着替えを済ませ、マネージャーが呼んでくれていたタクシーに乗り込んだ。
待ち合わせ場所までは15分ほどで着くだろう。窓から流れる景色を眺めていれば、ぽつ、ぽつ、と空から降ってきた水滴が窓を濡らした。


『……雨……』


ぼそり、とそう溢せば、どんどん雨が強まっていく。



―――百は、大丈夫だろうか。

今頃、岡崎と共に病院に行っている頃だろう。どうだったか診察が終わったら連絡をすると約束していたが、心配で心が落ち着かない。

どんどん本降りになっていく雨が、なんだか百の心を表しているような気がして、胸が苦しくなる。


そんなことを思っていれば、天と待ち合わせをしていた場所に到着した。零は不安を抱えながらも、天の元へと向かった。


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