第2章 shaking your heart
どうして、なぜ、と聞いてもあの時の天は”ボクのせい”としか答えなかったから。今にも泣き出しそうな、あんな苦しそうな天の表情は、後にも先にもあの時が初めてだった。
その後すぐに天も家族の元を去った。零がいなくなったことも、天が家族を捨てたことも、陸には何もわからなかった。
だから陸は、二人に追いつくために。二人が立っているステージ・・・芸能界へと、足を踏み入れる覚悟を決めたのだから。
「ちょ、待って待って、りっくん、その人とも兄弟なワケ?」
そんな二人の感動的な再会を、見事にぶったぎる環の声が響いた。
「ちょっと、環くん……!」
「え?俺、なんかマズイこと言った?」
わけがわからないとでもいいたげな環と、早く事情を話せと目で訴えるメンバーたち。
そんなみんなの心情を察した陸は、おそるおそる口を開いた。
「皆、ごめん……隠すつもりはなかったんだけど……天にぃのことがあったから。零ねぇはすごい人だし、許可もとらずに幼馴染だったとか言わない方がいいのかなって、すげー考えててさ……零ねぇに迷惑って思われたらどうしようって思うと、言えなかった」
『……陸……』
どこかしんみり、としてしまった空気を変えるかのように、ぱちん、と手を叩く音が部屋に響く。
「さあ、それじゃ詳しい自己紹介は後にして、皆支度してー!」
社長の言葉に、一同はハテナマークを浮かべた。
「今日は仕事はお休み。IDORiSH7のみんなも、紡くんも、勿論零ちゃんもね!」
「「「「え?」」」」」
「早く早く!出掛けるよー!」
「しゃ、社長……その、出掛けるって、どこに?」
「バーベキューです!!」