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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第5章 ボクはキミを




「……陸……」


出てきたのは、瞳いっぱいに涙をためている陸だった。


『陸……泣いてるの?』

「……っ天にぃが何を言ったって、けほっけほっ、オレは絶対IDORiSH7を辞めたりしないからな!」

「「「IDORiSH7を辞める……?」」」

「天にぃはオレを捨てたけど、みんなはオレを必要としてくれるんだから!ひどいこと言うのは天にぃだけだ!!天にぃなんか……っ、はっ、はっ……」

『ちょっと陸、落ち着いて』


零が陸に駆け寄り、背中をさする。けれど陸の勢いはとまらない。


「おい、何があったか知らないがその辺にしておいたらどうだ。蕎麦が冷めるぞ」

「蕎麦屋が仕切らないで」

「助け舟をだしてやったんだろ!?」


楽を無視して、天は陸に向き直る。


「陸……聞いて」

「聞かない……けほっけほっ」

「…ボクの言うことが聞けないの?」

「絶対に聞かない!」

「そう……なら、もういい。わからず屋と話をするのは止める」

『ちょっと天、そんな言い方……』

「零は黙ってて。アイドルとして、ボクは陸を認めない」

「……っ……」

「だから、おまえは言いすぎ――」

「蕎麦屋は黙ってて!」


天が楽に怒鳴った瞬間、トイレから龍が戻ってくる姿が見えた。


「ごめん、ごめん!ついトイレで眠っちゃったよ!おかげで酔いが冷め……どうしてみんな揃ってるんだ!?零さんまで!?ここはカラオケじゃないのか!?」

「……帰るよ、龍」

「……天、何かあったのか?大丈夫か…?様子が……」

「何も」

「……じゃあ、器は外に出しておいてください」


天を筆頭に、楽と龍も玄関へと向かう。


『ちょっと天!待ってよ!』


行こうとする天の腕を零が掴めば、天が不機嫌そうに顔を顰めながら零を睨みつけた。

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