第5章 ボクはキミを
「……待たない」
『もう……なんでそうなるの……天、陸に何言ったの』
「……零には関係ないでしょう」
『関係なくない!幼馴染でしょ!?』
「……幼馴染、ね。……所詮、零にとってボクはただの幼馴染だもんね」
瞬間、天が顔を歪めた。
その顔が、今にも泣きそうで。ひどく、悲しげで――。
『……天……?』
「……ごめん、今日は帰らせて。また連絡する」
そういって、天は名残惜しさを残しながらも、零の手をそっと離して行ってしまった。
『………』
「天にぃなんか……大嫌いだ」
そして、陸の悲哀に満ちた声が、静かに響いたのだった。