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【黒バス】こんなにも僕等は

第3章 なみだ見せて/黄瀬涼太






ただの練習試合でここまで盛り上がるのは選手の姿勢がすごいものだからだろう。思わず感動しすぎて涙が出そうになった。ふともう一度時計を見ると残り5秒だった。そしてボールを探すと黄瀬くんがゴール下まで走っていた。





(頑張れ、黄瀬くん!!)





「入れェェェ!!」
―ピィィィ――――ッ―





ホイッスルの音と共に黄瀬くんのダンクが決まった。シンと静まり返った空間にわっと声が上がった。さっきこらえた涙がぶわっと角膜を覆った。これは零れる。私は急いで外へ出た。



体育館横にある水道の隣に腰掛ける。黄瀬くんかっこよかったな。最後は本当に感動した。公式大会なんて見に行ったらもっと凄いんだろうな。なんて涙を流しながら興奮して、試合を振り返る。すると遠くから誰かが歩いてくる音が聞こえた。反射的にバッと振り返ってしまった私の前に現れたのは、





「っ?!黄瀬くん?」
「あれっなまえさん?」





嘘っ、本物?あ、どうしよう。泣き顔見られた!!恥ずかしくてすぐに顔を伏せた。





「……応援、ありがとっス」
「う、うん」
「勿論相手校を応援してたわけじゃないっスよね?」
「当たり前じゃん、黄瀬くんの応援に……っ!!」





あっ馬鹿自分!!なにを言っているんだ…。





「俺の…応援……まじっスか?!」
「う…あ、」
「嬉しいっス!!」
「……うん」
「でもなんで泣いてるんスか?」
「それは……」
「……見せて?」
「へ?」
「涙、見せて?」
「やっ、汚いし恥ずかしいっ」
「じゃあなんの為の涙?」
「えっ…と、試合…感動して……」
「じゃあ俺に見せて?」





そう言われた瞬間に手首を取られ、無理矢理彼と顔を合わすようになった。涙でぐちゃぐちゃな顔なのに。酷いから見せたくないのに。黄瀬くんの笑顔に見つめられ、目が離せなくなってしまった。





「泣きすぎっスよ」
「だから見ないでっ」
「綺麗っスよ」
「そんな…、」
「みょうじっち、好きっス…」
「………えっ?」
「だから今日、来てくれてたの見えて嬉しかった」
「~~~~っ!!」





掴まれていた手首を解き、自分の頬を抓る。覚めろ覚めろ。だけど一向に目の前の光景が変わらなくて。





「好きっス」
「!!」





「私も黄瀬くんが好きです」




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