第4章 ドキリ、ドキリ。/赤司征十郎
「ふっ…まぁいい」
あ、笑った。かっこいい。いやそうじゃなく。なぜ顔を近づける…。近い。近すぎる。心臓うるさい。
彼は少し悩む素振りを見せ、制服の上着を脱ぎはじめた。何事かと思い見ていると、それで私の両腕をまとめ、固定しはじめた。なんかこれ、可笑しくない?危ない…?危ないよね。身動きとれないし。
「どうだ?1つゲームをしよう」
「……ゲーム?」
「そうだ」
この体制からどんなゲームをするというんだ。なにをするつもりなのか。彼の口から出たのは、乙女の夢をぶち壊すものだった。
「俺を満足させてみろ…」
「できたら付き合ってやる」
すっごいドキドキしながら告白して、両想いになったら…とかそんな妄想は全て崩された。私に想いを寄せているはずもない彼が、満足させられたら付き合う…。私の気持ちは無視?お互い心無しに付き合うの?そもそも満足させられたらって……
「ひゃぁっ?!」
なんて悠長に考えてなどいられなかった。彼の手が私の制服に潜り込んできた。
「この先お前は…俺の事しか考えられない」
「んっ、そんなこと、ない」
「いや、俺の言うことは絶対だ…間違ってなどいない」
どこからそのような確信をえているのか。なんて思う私だけど、この先本当に彼へ恋心を抱いたのはまた別の話。
(全ては彼の計算通りだと)(後から知らされた)