第1章 生きてみせろ
何を捨てても許される。
この世の何を捨てても、
その住人はすべてを受け入れると言う。
ゴミも、武器も、死体も、
赤ん坊もーー・・・
(あそこしかない)
女は今にも崩れ落ちそうな己の両膝を叱咤した。
顔を汚して目にしみるモノを、手の甲で億劫そうに拭う。
それが自分の涙なのか、脂汗なのか分からない。何度も顔から転んだから、傷から血が滲んでいるのかも知れない。
(はやく、しなければ)
顔も、腕も、傷だらけだった。
でも泣き言は言っていられない。
女は気力を振り絞る。
己の腹部に両手をあて、すり減った神経を集中させる。
(今しかない、今なら動ける。痛くない)
(いかなければ)
目の前に現れた扉に、やっとの思いで身体を寄せる。
再び襲ってきた疼痛に眉をしかめるも、
それでも、女が足を止めることはなかった。
(いかなければ。
流星街へーーー・・・!!)
~第1章 生きてみせろ