第10章 新米探偵に依頼あり
凛
「無理している様子はありましたか?」
渡會
「いえ、ありませんでした。…それに周りの子も言っていました」
彼女の言葉に三人は不思議そうに見詰めた
渡會
「友人が消えた…って」
智晃
「え…渡會さんの友人だけが消えたんじゃないんですか?」
渡會
「はい。私の周りの子が急に友人と連絡がとれなくなった…って」
凛
「……それは少々、奇妙な話ですね。姿を消したと言われている方々の性別は分かりますか?」
渡會
「えっと…皆、女性だったと思います」
その言葉に凛は成る程、と呟いてから顎に手を添えて何かを考え出した。
凉晴
「その人が消える前、何処に行ったとか分かりませんか」
渡會
「何処に……」
凉晴の問いに彼女は思い出すように視線を彷徨わせ、何か思い出したのか顔をぱっと上げた
渡會
「確か…パーティーのお誘いがあったって。それを凄く彼女は楽しみにしていて」
凉晴
「連絡が取れなくなったのは」
渡會
「パーティーの次の日です」
智晃
「んなら、そのパーティーが怪しいんじゃねーか?」
隣に座っている凛に智晃が声を掛ければ、彼女は小さく息を吐き出して
凛
「まだ確定は出来ませんが怪しいのは確かです。まずは調べてみましょう」
渡會
「宜しくお願いします。…私の友人を、助けてください…っ」
縋る様な視線を投げられると凛は優しく笑み、しっかりと頷いて見せた。
渡會を見送った室内に凛の、ぱんっと手を叩く音が響いた
凛
「最初の依頼にしては少々、難易度が高いですが上々の出だしですね」
智晃
「いきなり高過ぎじゃねーか?俺は迷い犬とか猫を見付ける依頼かと思ったわ」
凉晴
「見付けたければこれには参加しなくても良いぞ」
智晃
「はぁ!?やるよ!」
やはり智晃に対して刺のある物言いをする凉晴に声を上げると、彼は何も言わずに視線を逸らした