第9章 彼等が生きた証
【語り : 凛】
私たち種族の世界は…犬猿の種族やある種族の特徴が欲しい者などを省けば基本的にあまり争いがありません。
その小さな争いや、時に起こる大きな争い…
それを仲裁するのがセレナイト族である私達の役目です。
スピネル族とセレナイト族は争う事も親しくする事も特にはありませんでしたが、智晃のご両親と私の家族は仲が良く…幼い頃に良く遊んで
智晃
(ちょ…ちょっと待て!凛が幼い頃って…お前、実はかなり年上!?)
………………、遊んでもらっていました。
智晃
(気に障った!?)
いえ、関係なかったので。
教えておきますと、人間とは違い種族は智晃が思っているよりも長生きです。…続けますよ?
両親が亡くなった時も一番、気にかけてくださったのも智晃のご両親です
智晃 父
「凛、君のせいじゃない」
智晃 母
「そうよ。ほら…食べて」
凛
「………ん」
智晃 父
「凛、強くあれ。大丈夫。お前はあの二人の子供だ」
智晃 母
「あら。凛は充分、強いわよ?」
智晃 父
「ははっ、確かにな!」
とても暖かくて笑顔が優しいお二人でした。
笑えなくなっていたのに気が付いたらあの方たちのお陰で私は笑っていました。
それから暫くしてお二人の間に新しい命が宿りました。
幸せそうなお二人を見ているのは私も凄く幸せで…
でも、貴方を身籠って間も無く種族世界の空気が悪くなったんです。
『スピネル族は世界を破滅へ導く』
その噂が流れはじめてから…。
ですが、そんな事実はありません。
誰が勝手に流したのか、そんな噂のせいでスピネル族を全滅させようとする活動がどこの種族でも起こりました