第2章 不思議な転入生
教室に脚を踏み入れた転入生は
丸眼鏡に胸元まで伸びた髪を緩い三編みと
一見、地味な印象を持ちがちの風貌は彼女からは漂う事などなく、同年代にはない品があり…制服は彼女の為に繕われたもののように感じた。
担任
「挨拶して」
「花澤 凛です。宜しくお願いします」
ふわっと花が咲いたような笑みと共に唇から発せられる澄んだ声に智晃は違和感を覚え思考を巡らせた
智晃
「……あ」
智晃が思い出したのと同時に本日三度目の背中への衝撃に顔を歪ませ、力加減の知らない友人へ顔を向けると八重歯を見せだらしなく笑っていた。
智晃
「何だよ、その顔…」
春太
「やばくね?」
智晃
「自分の顔がやばいって分かってんならやめろよ」
春太
「ばっか!俺じゃねぇよ。凛ちゃんだよ、凛ちゃん」
智晃
「凛ちゃんって…」
春太
「何かこうさー、他の女子とは違って品っつぅの?美しいよなー。いや、顔は可愛いけど美しいよなー」
春太の言葉に気が付けば智晃は頷いていた。
そして、教室内の全員が凛の放つ雰囲気にうっとりとした溜め息を吐き出してきた。