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彼岸花を抱いて

第5章 不安定と再戦




【智晃 side】






俺が吸血鬼ディアと戦ってから五日経った。
更に魔法を安定させる為に放課後、必ず凛と特訓をするのが日課になっていた



正直な話まだ魔法を使うのは抵抗がある。
人に向けてなんてもっと嫌だ。

ただ…狙われちまった時に為す術なく殺られんのもごめんだ



面倒くさくなった俺は考えるのを放棄して少しだけ暑くなってきた日射しを浴びながら露店を開ける準備をしている人達の声を流し聴きながら、石畳を蹴り学校へ向かった。







智晃
「はよー」

春太
「はよーっす」



春太の前にある自分の席に腰を下ろしながら、後ろを見て違和感を覚える



智晃
「あれ、凛は?」

春太
「まだ来てねーよ?いつもは俺より遅いくらいか、智晃と同じくらいだよな」

智晃
「だな」



ただの寝坊だろう、と大して気にする事はなかったがその日凛は登校してこなかった。






──────────





放課後いつもなら凛と一緒に廃工場に行くところだが、今日はお気に入りの場所に久し振りに来ていた




智晃
(そろそろ夏だな…)




オレンジと緑の二色しかない丘で腰を落ち着けながら段々と暑くなってきた日射しに内心呟くが、夕刻はまだ涼しい


芝を揺らす風が俺の頬を撫でると、それに乗って夏の訪れを知らせるような空気が心地良く芝へ全身を倒す。




智晃
「楽だな」



久々に自分の好きな空間に身を包まれ呟いたそれはここ最近かわった自分の身の回りについてだ。
魔法を使わなくて良いのは正直、楽。


魔法を使うと嫌な事ばかり思い出される。
弱い立場の人等を魔法を使って虐げる奴等の歪みまくったくそみてぇな笑いが浮かび眉間にシワを刻む



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