第3章 謎の特訓…と、遭遇
智晃
「…………は?」
凛
「やりましょう?」
凛が炯然学園に転入してきてから
一週間が経ったある日の放課後の出来事
この一週間で二人が頻繁に使うようになった屋上で突然、告げられた彼女からの言葉に智晃は怪訝そうな顔をした
凛
「ですから、やるんです!魔法の特訓!」
そして、先程と同じ様に目を輝かせながら凛は智晃へ同じ言葉を注ぐ
智晃
「何でだよ。俺は別に使え無くても困っちゃいねーよ」
凛
「良いじゃないですか。もしも、力業ではなく魔法でしか解決できない物事が起こってしまったらどうするんですか」
智晃
「うっ…」
それでも力業で何とかしてみせる…そんな事が言える程、今の智晃に技量はない。
あるのは他の人より少し強い力だけ
智晃
「……分かったよ」
暫く沈黙した後に盛大な溜め息を吐き出してから、智晃は観念したように呟いた
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所変わって誰も脚を踏み入れないであろう、薄暗く廃墟と化した工場
地面には以前使われていたらしき長さの違うネジが散乱していたり、全盛期は休む事なく働かされていたとおぼしき魔法を使って動かす器械。
どうやら、この場所は凛が最も最適だと判断して智晃を連れてきた場所のようだ
凛
「んー…では、まず。そこに落ちているネジのどれでも構いません。動かしてください」
工場を観察するようにキョロキョロとしていた智晃に凛がそう声を掛け、一つ間をあけて智晃は地面に散乱するネジへ掌を向ける