第12章 断らない探偵事務所
特に依頼も無く事務所のソファで三人まったりしていると、扉の開く音に顔をそちらに向ける
そこには初めての依頼主である渡會と知らない女性が立っていた
渡會
「あの…先日は友人を助けてくださり、本当にありがとうございました」
凛
「いえ。…彼女がそのご友人ですか?」
首を傾げて問う凛の言葉に渡會は大きく頷き隣の彼女を見た
「本当にありがとうございます。…お陰でまた楽しい毎日を過ごせています」
渡會
「少ししか出せませんが…」
渡會がバッグから封筒を取り出すと、テーブルへ置く。
それを見ると凛は、封筒を手に取り渡會へと手渡し
凛
「良いですよ。お元気な姿を見せてくださっただけで安心しましたから。…これは、必要ありません」
元々、智晃の力を戻すために行っているものなためお金を貰うつもりは最初から無かった。
だから、彼女の言葉に二人は頷くだけで
渡會
「で、ですが…」
智晃
「大丈夫っすよ」
智晃と凛の笑みを彼女達は交互に見詰めた後、困った様に笑い
渡會
「ありがとうございます。…少しでもお役に立てるように此処の事、いろんな人に宣伝させてもらいますね…!」
そう彼女達は残して仲良く帰って行った。
彼女達が事務所に訪れた数日後の事…
智晃
「ココアちゃーん」
凛
「リリちゃん、ほら…此方ですよ」
凉晴
「……コテツ…」
迷子の犬や猫、時には鳥などを捜す依頼が殺到し毎日三人は各々で捜しだし…流石にくたくただ。
沢山の迷子を捜し続けたある日。
今日も各自で迷子を届けた後にぐったりしながら、事務所のソファに身体を沈める