第2章 不思議な転入生
智晃
「馬鹿にされて笑われる事はあったけど、喜ばれたのなんか初めてだわ」
凛
「…それが理由ですか?」
智晃
「ん?」
凛
「周りの方が貴方へ送る視線です」
智晃
「あー…それもあるけど、ほら俺の髪って他の奴等と違ってちょっと赤いだろ?」
凛
「はい、珍しいです」
智晃
「だからだよ。魔法も使えねぇわ、髪は赤いわで珍しいからな。珍しい奴は嫌いなんだろ、皆」
人間は髪色が黒か色がついてても花澤…
凛みてぇに暗い茶色が普通だ。
それで言うと俺は暗い赤髪なのだから、疎まれて当然なんだ
凛
「けど、春太は違いますよ」
智晃
「そうだな。…あいつは変わってっから。周りに左右されねぇんだ、自分がしたいようにする。本当…良い奴だよ、春太は」
言ってから後悔が襲ってくる。
凛の優しい雰囲気のせいなのか、普段は言わない事を今日会ったばかりの奴に溢しちまった
恥ずかしさに堪えられなくなればがしがしと後頭部を掻いてベンチから立ち上がる。
智晃
「今のは忘れてくれ」
凛
「ふふ、良いじゃないですか。…それに私も、違います」
智晃
「…え」
凛
「それだけで、貴方の人間性が分かるわけではありません。私も春太と同じです」
素直に嬉しかった。
ベンチに腰掛けている彼女へ視線を落とすと目が合い気が付けば二人で笑んでいた
本当に不思議な奴だ。
今日、会ったばかりなのに魔法が嫌いな理由も俺の周りからの評価の話も気付いたら話していた
不思議だけど、不快感などはなくどこか救われたような気分で満たされたのだ。
そして、残った時間で昼飯を食いながら他愛ない話をして過ごした。