第3章 一章
「うぅー、歌仙のアホ。まだ耳が痛い」
電話に出た瞬間、罵声から始まり、書き置きの駄目出し、病院の手配の報告。さらに日々の生活態度から畑当番と今日の昼食についての愚痴まで大音量で聞かされた。
メールの文面から流石に悪い事をしたなと反省して粛々と説教を聞くつもりであったがものの五分で辞めた。
後半は一切関係ない話の上、こちらは常日頃から皆に平等に仕事をさせている為言われない事だからだ。お互い喧嘩腰になった。
電話を切る頃には周りのみんなが遠巻きにこちらの様子を伺う有様。
めっちゃ、怯えていた。反省。
そして今現在どこにいるかというと、病院ではなく、理事室へと向かう廊下だ。
怒りがまだ収まってない時分。とりあえず病院には行くように皆に宥められ、支度をしようとした矢先に先生が入ってきて呼び出されたのだ。
聞けば、『三年生の学期末試験』についてらしい。
みんな変な顔をしていた。勿論、私もだ。
何故、十傑の皆ではなく、『私』が呼び出されるのか、
問い質しても、少し端切れが悪そうな顔をするばかりで主旨が掴めずにいたがとりあえず、行く事になった。
勿論、三年生の将来に関わる事だし何より、こういった催し物を執り行うするのも十傑の役目の為、竜胆達もついて来ようとしたがそれも止められた。
益々、解せない。
「こちらだ。入りなさい。くれぐれも粗相の無いように」
いやいや、そんな事するわけないでしょ!?どんだけ信用ないん!?
普段、皆が理事達にどんな態度とってるか心配になってきた。
「はーい。」
と、思いつつそんな不安は表に出さずに返事をする。
部屋に入ると高級感溢れる調度品が飾られた理事室。
その中に、少し困った様な顔をした学園総帥とニコニコと笑顔を称えた女性と好々爺といった穏やかな笑みを浮かべたお爺さんと顔色が優れないボサボサ髪の気弱そうな男性が座っていた。