第3章 一章
「通り魔?」「随分物騒な噂だな」
「まぁ、通り魔って噂だけど実際はわからないよ?
通り魔にあったーって話した子は誰もいないし。」
「まぁ、通り魔にあったとかいたら警察呼んで今頃大騒ぎだろうし、実際会ったなんて言われたらもっと信憑性かけるわ」
「アンタ、幽霊ですかー?みたいな?」
明日食檄をするとある生徒を激励してから評議会執務室に戻ると、部外者っぽい三年生が話をしてる。
「あー、薙切のご令嬢殿は噂をご存知?通り魔の」そしてその御仁が唐突に話しかけてくる。
「いいえ、噂は単なる噂ですし、そんな人間が学園に入っているとは思いません。警備員がいますから」
此処は世界一有名な料理人達の為のエリート校だ。世界的にも有名な財閥の御曹司なども多く在学してる。そんな人間を預かっているのだ警備には一片の余念も許されない。
「まぁ、そうだよね。所詮、噂だしその方がいいよね?」
「何すか?折敷先輩その通り魔みた?とか」「犯人自体は見てはないけど・・ね?」
聞くと、随分前に早朝通学途中に鼠の死骸を見たのだという
「最初は猫か何かの悪戯かと思ってたんだ。こちらも、けど、思い返してみると、つけられた傷は刃物で出来てた。それから何人か同じ様な死骸を見かけてる。その上」
次は蛙、蜥蜴、雀、鳩、烏、猫と徐々にエスカレートしていった。
誰かの悪戯だとしても正直気分の良い話ではない悪戯にしてもタチが悪すぎる。
「勿論、生徒を疑う気はないけどさぁ、私ら料理人って何だかんだ良いモン持ってるだろ?例えば盗まれたり触る機会があって、好奇心で試してみたいと思うかもしれないでしょ?」
「何を?」「切れ味を、だよ?」
絶命していた動物の多くが何度も刃物で切りつけられていた。執拗に、何度も何度も。
「しかも、気になるのはだんだんと学園の方に近づいてるって所かな?昨日。あ、いや、今朝か、犬の死骸を学園の入り口で見た。まぁ、遅刻しそうでそれどころじゃなかったから確認してなかったから野垂れ死かとも思うけど・・・もし、通り魔だとしたら」
はたして、次はナニが?いや、誰がそうなるか、という不安に駆られる。 特に、同居人は夜間に出歩く事も多い。
今日も遅いと聞いているから不安になるのだ。