第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
自宅兼本丸に帰るまで、暫く沈黙・・・・・・・とはならず、お供の歌仙兼定はご立腹といった様子でグチグチと文句を言う。
「まったく、どうして君はいつもそういう大事なことを言わないで話を進めてしまうんだい」
「黙っていた事は確かに申し訳なかったかとは思いますが、些か文句が多すぎやしませんか?」
神隠しやら本丸内の風紀の乱れ等を気にしても勿論あるが、隠していた最大の理由が『言うのが面倒くさかった』と言ったらさらに倍は長いお小言を言うに違いない。
「お目付け役の燭台切にも伏せているのも、解せない。大体交際が決まった地点でお披露目するのが筋というものだろう?」
「あのねぇ、この時代の男女交際はそんな古臭くて重苦しいものじゃないの、付き合いたての人間がいきなり家に来て親戚連中に紹介するなんてなったら、相手が委縮するでしょ」
相手は大人で料理界の重鎮とも面識交流のあるといっても自分と同じ・・・・というと『普通』の基準が大分偏りそうだが、成人前の一般市民だ。
そうでなくても品定めされるのは心地悪かろう。
まぁ、今回別の意味で『品定め』されているのだが、
「そういうものなのかい?まぁ、僕としては厨を破壊しなければこの際、誰が来ても構わないよ。」
「随分、判定が甘いこと」
顕現してからというもの厨の崩壊やら独創的な料理を食べて我が家の食事事情について嫌でも慣れたらしい。
というか、自分としても同じ意見だ。それでいいのか料理学校生と思われるが、
「とりあえず、研修時は間違っても燭台切に厨に行かないように念押ししないと。間違っても親切心や対抗心を覚えて料理しようなんて思わないように、家の主としてどっしり構えているだけにして貰わないと、家なき子になるなんて御免だもの」「いっそ君のそばに置いておいた方が良いのでは?とも思うのだが」
それはちょっと、かなり、いやだ。