第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
空気を読まない最高学年の先輩は正座をさせた。
先輩になんて事を!と方々に顰蹙を買うところだが、みんなそれどころではない。痛恨の一撃を受けて常識人は反撃が出来ないくらい痛めつけられていた。気弱で極星寮の良心ともいえる田所恵なんて既に虫の息だ。だというのに、
編入生は既に研修合宿用の持ち物を整え出していた。
「用は、全員がその半数に入ればいいだけだろ」
しれっと言う。
「そうですよ。競争ではないのですから。その時その時のリクエストに答えられれば全員受かる様な合宿ですよ。大丈夫、私も生き残ったくらい何ですから。
何もこれから新メニュー作って食戟しろとか、相手より早く作ったら勝ちとかは無いんですから、いつも通り、料理を作れば大丈夫ですよ。」
「水志先輩や幸平君の言う通りさ、この中の誰一人かける事なく戻って来ると僕等は確信してるよ。」
「け、けどよ」
「あーっ、っせぇーなぁっ!!いちいち落ちるかもだの、駄目かもだの。始まってもいねー事グチグチグチグチとよぉ、くっだらねぇ。」
煩わしげな言葉に少し皆の眉間にシワがよる。
「ケッ、おい、女」
高圧的な声と態度に田所さんがヒッと身を竦ませる。
「そうやってウジウジ考えて動かないで、竦ませたったなぁ誰の得にも、何の助けにもなんねーんだよ。邪魔になるだけだ。」
田所恵は蒼褪め、目に暗い光が灯る。
余りの言い分に流石に神菜も声を上げようかと口を開く。
「んなに心配なら、練習でも何でもすりゃぁいいだろーがっ!
鍛えりゃ鍛えた分強くなる。鍛えた分、身につけた分、アンタの力になる。簡単な話だろ?」
ポンッ!と頭に手を乗せる。いきなり頭に重みを感じ、キョトンとする田所恵。
「やれるだけのことやって、やりきったんなら、それは絶対アンタを裏切らね。」
少しニカっと笑って立ち上がる。
「そろそろ帰えんぞー、」
「あ、あぁ、もうこんな時間か。だいぶ話し込んでたわ。」
「ったく、食い過ぎたわその辺走り回って腹空かしとかねーとな。飯、ごっそさん旨かったわ。」
そのままそそくさと帰っていく。扉を閉める際"アニキ"と大音量でフルメンバーで叫んだらしいが二人には聞こえてなかった。
(つか、合宿とやらに行くとなるとチビどうすんだ?)
(あ・・・)