第80章 スキとキス。
・・・・
・・・・?
チュッ
「!!??」
キスをされた。
だけどそれは唇じゃない。
額に。
「は、花宮さん・・・?」
花宮「は?何期待してんだよ」
ハッと見下すような笑みを浮かべてくる。
・・・・なっ!!
「か、からかいましたね・・・!?」
花宮「おいおい。からかったもなにも、俺は唇もらいまーすだなんて一言も言ってねぇんだけど?」
「それは・・・そうですけど」
花宮「ひっでぇなぁ。俺が悪いのかよ。」
・・・ムカッ←
私が変なこと考えてたってことですか・・・!?
いやいやそれはない。
こんな状況、誰だって唇にキスされたって思うはず・・・!
で、でも・・・額にキスされてしまった。
ちょっと恥ずかしい・・・。
花宮「緊張しただろ」
「そりゃ誰だって・・・」
花宮「やめてほしいとか思わなかったか?」
「・・・え?」
花宮「普通にお前、拒んだけど」
そういえば、顔が近づいてきた瞬間、
とっさに花宮さんの胸元に手をあて押してたような・・・。
拒んでたのか、あれは。
花宮「これが笠松だったらどうなんだよ」
「拒んでたかも・・・しれないです」
花宮「それで好きとか言うかよ」
「・・・言えません」
花宮「あっそ。そういうわけだ。俺からは以上。じゃぁな」
「えっ」
ぎゅっと花宮さんの浴衣の袖を掴んだ
「い、行っちゃうんですか?」
花宮「は?なに寂しいですーってか?医務室くらい自分で戻れよ。もう平気だろ?」
「あ・・・」
そういえば、さっきまで流れてた涙も止まったし
飛び出そうなくらい跳ね上がってた鼓動の音もおさまった。
花宮「じゃーな」
「あっ・・・花宮さん!その、ありがとう・・・ございました」
花宮「・・・ばぁか」
それだけ言って、花宮さんは背中を向けた。