第79章 好きと好き。
=雅side=
ー・・・
ドクン ドクン
この、音はー・・・?
ドクン ドクン
あ 心臓の音だ。私の。
鼓動が全身に伝わる。全身で音がなる。
おかしくなったのかな、私の体。
だって、変だよ。今までこんなこと一度もなかったのにー・・・
って、そっか。
私、死んだのかな。
あの時、眠くなったんじゃなくて、意識がふぅっと何処かに奪われた感覚を感じた。
短い人生だったな・・・。ちょっと残念。
せっかく分かりかけたのに。恋心というやつが。
それが恋心かは自分では分からないけど、
そんな気が確かにした。
だったらせめて・・・
「-・・・」
たった一度でもいいから、
誰かに恋を、したかったー・・・
今吉「小倉!!」
「・・・せん、ぱ、い?」
花宮「ハァ・・・」
今吉「-・・・目、覚ましたか?」
「はい・・・」
今吉「ワシのこと、分かるか?」
「はい・・・あの、せんぱっ・・・」
おそらくベッドの上で寝ていた私の体を、今吉先輩がめいっぱい抱きしめた。
力の入らない体だったが、抱きしめられた腕は細かく震えていた。
今吉「心配・・・させよって、ホンマにアホや。大馬鹿や!」
「・・・」
強い力、腕、言葉。すべてが暖かい。すべてが優しくて、
痛い。胸も体も全部痛いよ。先輩。
「っごめんなさい・・・・っ!」
抱きかえすことはだきなかったが、
私の瞳から大粒の涙があふれでた。