第78章 どうなってもいい。
=伊月side=
伊月「ん・・・-・・・っ?」
目を開くとホテルの部屋だった。
でも一番最初に目に入ったのは氷室さんの顔だ。
俺をみてほっとしている。
氷室「良かった・・・大丈夫かい?」
伊月「氷室ー・・・さん?」
なんで俺寝てるんだ?さっきまでスキーをしてて・・・
帰ってきて・・・それで・・・
伊月「!! 二人は・・・!?うっ、くっ・・・」
氷室「まだ起きちゃ駄目だ。しばらく安静にしてろ」
起き上がった俺の肩を押し、また寝転がる体制に戻される。
そうだ。小倉と笠松さんが・・・
伊月「まだ、見つかってないんですか?」
氷室「・・・まだ、何も連絡はきてないよ」
伊月「そう、ですか・・・」
駄目だ。また眩暈がする。
ひどいなこりゃ・・・。笑えてくる。
・・・ちっくしょう。何もできないのかよ俺は。
氷室「伊月」
俺の不安を察知したのか、氷室さんが話し出した
氷室「大丈夫だ、二人なら。きっと見つかる。生きてるよ。・・・まったく、そんな青い顔して・・・」
伊月「氷室さん・・・俺は・・・」
氷室「もうしゃべらなくていいよ。」
人差し指を口元に押し付けられる。
氷室「願おう。二人が無事帰ってくることを」
伊月「・・・そうですね。」
窓を見ると、外は吹雪いていた。
・・・小倉、笠松さん。
今どこで何をしているんだ・・・?
早く、戻ってきてくれ・・・。
もう、どうなってもいいから
せめて命だけはー・・・
神頼みだなんてする主義じゃないけど、今回ばかりは
願わせてください。神様ー・・・