第64章 終演後の物語
クリストフは起き上がれないほど体が重いと言って
ベッドに寝たきりだったわ。
そして一日が終わろうとした時、
クリストフは急にせき込み始めたの。
「クリストフ・・・!」
「ナターシャ・・・どこだナターシャ・・・。」
「何を言っているのクリストフ、あなたの目の前にいるじゃない。」
「見えない・・・もう私は視界がないのか・・・。」
「いやっ!嫌よクリストフ・・・ねぇ私を見て。お願い」
「・・・ナターシャ、私の手を掴んでくれ。」
「ええ。掴んだわ」
「・・・あったかいな。お前の手は。」
「何を言っているのクリストフ・・・あなたの手もこんなに・・・っ・・・」
「冷たいだろ、ナターシャ。離していいぞ」
「っいいえ。暖かいわ、あなたの手。離したくない」
「・・・なぁナターシャ、愛している」
「私もよ」
「こういうのはもっと極端に言うんじゃないのか」
「・・・好きよクリストフ、愛しているわ。お願い死なないで・・・!!!」
「・・・ナターシャ、すまない。・・・ありがとう」
それっきりクリストフは喋らなくなったわ。
そして次の朝、クリストフの背には満月の紋章。
そして、一つの星が描かれていたの。