第10章 同い年
話を聞き終えると、ナナバさんとゲルガーさんは少し安心したような顔で笑った。
「そうか。私たちも昨日はラウラの事を心配していたから、君たちが介抱してくれて助かったよ。
夜、ラウラの部屋まで行ったら、医務室に担ぎ込まれたって聞いたからびっくりしてね。ラウラ、昨日は部屋まで送ってやれなくて、すまなかった」
「いえ、そんな…とんでもありません」
ナナバさんの言葉に、私は首を振った。
だが、頭を揺らしたことでまためまいがして、私の身体は前のめりに倒れていく。
「っと、まだ大丈夫そうじゃねぇな」
ゲルガーさんが身体を支えてくれたおかげで、またもや私は助けられる。
そんな私を見つめた後、ナナバさんはペトラさんとオルオさんの方を向いて言った。
「何にしても、君たちには改めて礼を言うよ。本当にありがとう。
これからもラウラと仲良くしてやってくれないかな?こう見えて、結構不器用な子なんだ」
まるで保護者のようなセリフである。
「もちろんです。ラウラとは同い年ですし、何よりも兵団の仲間ですから」
「そうっす!おいラウラ、そういう事だから、俺らのことは呼び捨てでいいんだかんな。同い年のやつに、さん付けされると何かムズムズする」
照れた様子でぶっきらぼうに言うオルオの姿は、見た目こそ実年齢よりも老けて見えたけれど、その仕草は間違いなく若者特有のものだった。
「うん、ありがとう。オルオ、ペトラ」
私は、じわ、と熱くなってくる目頭を慌てて手で押さえた。
昨日凍りついてしまった心に、小さな灯りが点ったように感じたのだった。