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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第9章  喪失


 市街地を抜けた私たちは、調査兵団の兵舎へと帰ってきた。

 今回の調査では、比較的巨人との遭遇が少なかったとは言え、それでもやはり犠牲者は出た。
 死亡した兵士の亡骸は、可能な限り回収して壁内に連れて帰ってくる。
 壁外に置いてけぼりにしてくることなど、仲間として到底耐えられないからだ。
 だが、遺体を収容している時にも巨人から襲撃を受けることはある。だから、必ずしも全員を連れて帰れる訳ではないのだが…。

 兵舎の中央に位置する広場に白い布が敷かれ、その上に亡くなった兵士の亡骸が次々と横たえられていった。
 先輩たちの馬を厩舎につなぎ終えた私は、死亡者の収容作業に加わった。

 皆、直視するに耐えないほど無残な姿だった。
 ある兵士は腕をかじり取られ、またある兵士は足をめちゃくちゃに捻られてあらぬ方向を向いていた。
 頭のない者もいるし、身体の一部しか残っていない者もいた。身体の一部ですらも残っておらず、着用していた装備や衣服だけの兵士もいた。

 残酷な光景だった。
 つい数時間前までは、ここに横たわっている皆が、士気に溢れた力強い兵士だったはずだ。
 それがほんの少しの間に、ここまでめちゃくちゃに蹂躙されてしまった。
 私たちは…一体どれだけ巨人に奪われるのだろう。土地も、仲間も、家族も…。


 身体の半分をかじり取られた女性兵士を運び終えてから、次の遺体を運ぶために荷台へと戻った時、運び出されてきた遺体を見て、私の身体は凍りついたように動かなくなってしまった。

「え…?」

 荷台の上に乗って、次々と遺体を担架に移乗させている兵士が持ち上げていたのは、片腕と片足を無残にもかじり取られた男性兵士の遺体だった。

「…ライデン……なの?」

 もうほとんど血の気を失って、まるで化粧をしたように真っ白くなった顔を見つめる。
 眠っているように目を閉じているその顔は、長年、共に過ごした幼馴染の顔に間違いなかった。

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