第7章 穏やかな日
楽しい時間はあっという間に過ぎて、遊びに行ったのは昼過ぎ頃だったけれど、いつの間にか夕暮れどきになっていた。
長々とお邪魔してしまった非礼をライデンのおじさん夫婦に詫びて、私たちは玄関に立った。おばさんは杖をついて見送りに出てきてくれた。
「じゃあおばさん、お体にはお気をつけて。また会いに来ます!」
「ラウラちゃんも怪我には気をつけて。またいつでも遊びに来て。楽しみに待ってるわ」
そう言ってからおばさんはライデンの方に顔を向けて、まるでいたずらを思いついた子どもみたいな笑顔を浮かべた。
「じゃ、あんたも気をつけてね。今度こそ頑張んなさいよ!」と、またニヤニヤと笑みを浮かべた。
昔から時々おばさんはこんな笑い方をしていたな。そう言えば、おじさんもたまにしてたかも。一体何なんだこの笑いは…?
「うるせーな!言われなくても頑張るよ!」
ライデンは、まるで反抗期の少年がするみたいな言い方をして、プイッと背を向けた。
やれやれ…さっきは大人っぽく見えたけど、やっぱりお母さんの前ではいくつになっても子どものままなのかもしれないな、などと私は微笑ましい気持ちで二人のやり取りを見つめていた。
路地の角を曲がるまで、おばさんはずっと家の前に立って手を振ってくれていた。
私とライデンは何度も振り返っては、「もう家に入っていいよ」という意味のジェスチャーをしては笑って手を振った。
角を曲がる時、私は最後にもう一度振り返って、おばさんの顔を目に焼き付けるようにして見つめた。
まるで本物のお母さんのように接してくれるおばさん。母を失った私にとっては、第二の母のような存在だ。
おばさんが無事でいてくれて、本当に良かった。