第29章 第104期調査兵団
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ラウラの顔を見て驚いていたのは、今期の新兵であるジャン・キルシュタインとコニー・スプリンガーだ。
昨日の歓迎会は夜遅くまで続いたが、新兵の彼らはゆっくりと眠ってなどいられない。こなさなければいけない雑務が山のようにあるのだ。
まだ布団の中にいたいという欲求を何とか押し殺して、眠い目をこすりながら食堂へとやって来た彼らだったが、ラウラの姿を目にした途端に眠気などどこかへ吹き飛んでしまった。
(お、おい!すげぇ美人がいるぞ!まるで人形みてぇだ…。背格好からいっても、俺らと同期じゃねぇか?!)
と、まずコニーが言った。
それに対するジャンの返事も、やや興奮気味だ。
(うおおお!なんっ…何だあの子は?!だが、いや…、同期なら昨日の歓迎会にいたはずだ。あんな子が同じテーブルにいればすぐに気付くだろ)
だが、首を傾げたのはジャンだけで、コニーはあまり深く考えていないようだった。
(きっと気付かなかっただけだって!だってどう見たって年上には見えねぇよ)
そんなことを肩を寄せあってコソコソと話していたが、ジャンが突然意を決したような表情をしてラウラに向かって歩き始めたので、さすがのコニーも驚いた。
(おいっ??!ジャン?!何してんだ?!)
(決まってんだろ!何にしてもまずは挨拶だ!!そうすれば、彼女が同期なのか先輩なのか分かるだろ)
ジャンは、気になった女性にはすぐに声をかけないと気が済まないタチらしい。その習性はミカサと出会った時にも発揮されている。
その積極的なところがジャンの良いところであり、同時に浅はかな点でもある。