第27章 巨人になれる少年
どれくらいの時間が経ったのだろう。
泣き疲れてぼんやりとしている頭で、私はまるでひらめいたように唐突に思ったのだった。
……私は、兵長のことが好きだ。
この「好き」は尊敬の念だけじゃない。
ペトラが兵長に対して抱いているものと同じ、一人の男性として兵長のことを慕っているんだ。
それに気づいた瞬間、顔が燃えるように熱くなった。まるで全身の血液が顔に集中したみたいに。
この気持ちは今生まれたんじゃない。ずっと前からあった。
私は何度もそれに気付きかけていたのに、意図的にその感情から目を背けていた。分かっていたくせに、私はあえて気付かないフリをして逃げた。
私なんか兵長とつり合わない。
ペトラの恋の邪魔してはいけない。
そんな言い訳をして、私は自分の気持ちから顔を背けていたんだ。
でも…こんなにハッキリと気付いてしまった。もう、目を背けることなんてできない。
見過ごすにはあまりにも大きく深く、この感情は私の心に根を張りすぎた。
胸が激しく高鳴っている。
その音に気づかれたくないくせに、いつの間にか兵長の背中に回していた腕を解くこともできず、私はじっと石鹸の香りをかぎ続けていたのだった。