第27章 巨人になれる少年
トロスト区奪還作戦から二日が経った。
あの日以来、私はほとんど寝る間もなく働いていた。壁外調査の前夜から、ベッドで横になって寝ていないような気がする。
何しろ昼間は巨人の生体実験に参加して実験風景や解剖実験の絵を描き、夜間は兵団本部にあるアトリエに戻ってきて、今回の壁外調査やトロスト区奪還作戦の様子を描いているのだから。
なぜこれほど根をつめて描いているのかというと、近日中にはザックレー総統のもとに絵を持って行く事になっているからだ。
巨人の掃討作戦が終わった直後にエルヴィン団長からそのように指示があった。活字による報告書と併せて、私の絵も状況把握のための資料になる。
絵の提出までの日程はかなりタイトだ。
おかげでこの数日、睡眠時間はほんの僅かしか取れなかったけれど、私の特技の一つである「異常な寝つきの良さ」がこの時ばかりは本当に役立った。
今まであまり意識したことは無かったけれど、私はいつでもどこでもすぐに深い眠りにつけるので、例え睡眠時間が短時間であっても、かなり効率的に体力の回復をはかることができる。
数時間も眠れば、ほぼ100パーセント体力は元通りだ。