第26章 兵長のおまじない
「今はどんな絵を描いているんですか?」
無邪気に聞いてくる二人を、まるで妹や弟のように可愛いと思う。
こうして私の絵を見に来てくれるのは、とても嬉しいことだ。私の誤解が解けてからというもの、二人はちょくちょくアトリエの方にも遊びに来てくれていた。
彼らがきっかけになってくれて、今さらだったけど、他の同期達とも話せるようになったのだ。本当に二人には感謝している。
「少し見ていく?」
私は二人に見せても差し支え無い絵を選んで見せてあげた。
他の絵は、一般兵士に先に見せてしまうのはマズイので伏せておいた。まずはエルヴィン団長やハンジ分隊長に見てもらって、それからその絵の使い道が決まるからだ。
私が二人に見せたのは、巨人実験の風景を描いた絵だった。
「日光の遮断」をしている時のもので、巨人の身体を大きなテントで覆い隠して日の光が当たらないようにし、その行動の変化を見るものだ。
本当は、「痛覚の確認」をしている時の絵の方が躍動感があって面白いんだけど、二人には見せないほうがいいような気がした。