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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第23章  成果


「さぁラウラ、今日は緊張しただろう。何でも好きなものを食べるといい。ラウラは何が好きかな?」


 ニコニコと微笑みながらメニュー表を渡してくる団長の気遣いはとても嬉しいのだが、とても好き勝手に注文できるような気持ちにはなれない。

だってそうだろう。私のような下っ端兵士が、団長と兵長と三人で食事だなんて。現在進行形で緊張中だ。


(あぁー、緊張して好きに頼むどころじゃないよ!でも、遠慮したらしたで団長はガッカリしちゃうだろうし…でも頼み過ぎも図々しいし…一体どうしたら…)


「おい、注文しねぇならメニュー表貸せ」


 ゴチャゴチャと考えて動けないでいた私の手の中から、すっと兵長がメニュー表を引き抜いていく。兵長は軽く手を上げて店員を呼ぶと、スラスラと注文をした。

あんまりにも私がまごついていたから、もしかしたら気分を害されたのだろうか…?と心配になったけど、運ばれてきた料理の数々を見て兵長の行動の訳を理解した。


(私の好きなものばかり…)


 それは以前、兵長に食事に連れて行ってもらった時に私が頼んだものと同じ料理だった。店が違うから全く同じ訳ではないけれど、同じ種類のものだ。

 きっと兵長は私が遠慮しているのを察して、代わりに注文してくれたのだろう。
 …そうだ、兵長はこういう方だった。分かりにくいけれど、とても周りの人間の事を気遣ってくれる優しい人だ。


「兵長、ありがとうございます」


 私は嬉しくなって、こっそりとお礼を言った。


「…何のことだ。金は全てエルヴィンが払うんだから、礼なら奴に言え」


 プイ、と顔を逸らしてしまった兵長に、私はもう何だか、どうしようもなく胸が温かくなるのだった。

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