第23章 成果
「まったく、仕方のねぇ奴だ…」
リヴァイはため息をついた。
血の滴り落ちる首を振り回しているラウラ。
傍から見れば完全に常軌を逸しているのだが、今までの壁外調査でラウラの行動を見慣れてしまったリヴァイにとっては、そんな光景ですら子どもがおもちゃを見つけてはしゃいでいるように見えてしまうのだった。
そんな自分自身をリヴァイもおかしいとは思っているのだが、どうしてもそう見えてしまうのだから仕方がない。
その内、巨人の首は完全に蒸発してしまい、ラウラの腕の中には何も無くなった。
「あぁ…もっと観察したかったのに…でも、すぐに描かないと」
がっかりした様子のラウラであったが、すぐにポケットから小さな手帳を取り出し、その場に座り込んでカリカリと描き始めた。
その姿に、リヴァイは更に大きなため息をつく。こうなってしまったらもう、ラウラはテコでも絵を描くのをやめないだろう。
本気でスイッチが入ってしまった時のラウラは、どうすることもできない。
ハンジがマッドサイエンティストなら、ラウラはマッドアーティストだ。
絵を描いていない時のラウラは至って普通の、むしろ聞き分けの良い少女であるため、この異常なギャップに慣れるのには随分時間がかかったものだと、今までのことを思い出しながらリヴァイはげんなりした。