第18章 似顔絵
巨人の様々な絵を描くこと自体はすごくやりがいのあることだから、そういう意味ではとても楽しい。
でも…巨人を間近で観察していると、心がどうしてもザワついてしまうのだった。
何が面白いのか分からないけど、いつも不気味な笑顔を浮かべている彼らの顔を見つめていると、家族を失ったあの日のことを思い出して涙が出てきてしまう。
泣こうと思って泣いている訳ではなくて、気が付くとすーっと涙が頬を伝っているのだ。
絵を描くのに集中しすぎて、泣いていることに気がつかないことも多いけど、そういう時はいつもリヴァイ兵長がそれとなく肩を叩いて教えてくれたり、ハンカチを貸してくれたりする。
兵長は私が絵を描いている時にはいつも側にいて、そうやって気にかけてくれるのだ。
普段の粗暴な言動とは裏腹に、実は誰よりも優しい人なのだと思う。ぶっきらぼうな話し方をするのは、優しい自分を隠すためのただの照れ隠しなんだろう。
巨人を見て、あの日の地獄を思い出して…目の前が見えなくなるほど涙が溢れても、いつだって兵長が気づいてくれる。ちょっと乱暴だけど、涙を拭いてくれる。
そう思っているから、いつも安心して絵が描けるのかもしれない。