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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第14章  プレゼント


 私の挿絵が使われた調査報告書は、たちまち兵団内に配布された。
 と言っても、配られるのは班長クラス以上にだけで、一般兵士には掲示板への張り出しや、班長から口頭で伝えられるのみなのだが。
 壁外から戻ってきて各自に提出してもらった報告書は、集約され、こうやって全体へと還元されていく。


 異例のスピードで巨人研究班に配属されたとは言え、私がまだまだ新兵であることには違いないので、日常的に与えられる業務は今までとあまり変わらなかった。
 相変わらず、馬の世話や掃除、その合間に訓練…である。

 倉庫の整理を終えて廊下を歩いていた私に、声をかけてきた人物がいた。
 振り返るとそこに立っていたのは、コールマン班長だった。
 彼はライデンの所属班の班長であり、ライデンのお母さんが亡くなったことを私に教えてくれた人だ。

「お疲れ様です!」

 ばっ、と敬礼をして背筋を正すと、コールマン班長は少し笑って手を振った。

「あぁ、堅苦しいことはしなくていい。ところで、この報告書に載っている挿絵、君が描いたそうだな。
 今までの報告書に比べると見違えるように分かりやすくなった。君の才能は素晴らしいな」

 あまりにも次々と褒められるものだから、私は誇らしいやら恥ずかしいやらで顔をあげていられなくなり、少し顔を伏せた。

「……特に、この巨人の絵だが…」と、コールマン班長は配布された報告書を懐から取り出すと、挿絵で描かれた巨人の姿を指さした。

「コイツは、ライデンが討伐したヤツだ」

「……ライデンが、討伐を…」

 班長の言葉に、私の脳裏には、敏捷な身のこなしで巨人のうなじを抉り取るライデンの姿が浮かんだ。
 彼が巨人と戦っているところは一度も見たことがないから完全に想像になってしまうけれど、でもきっと、こんな風に戦っていたに違いないと私は思った。

「この奇行種は足が早くてな。俺たちには見向きもせずに、陣形の中央に突っ走って行くようなヤツだった。
 ……ライデンは、ヤツを陣形の内側に入れまいとして、必死で追いかけた。
 陣形を崩されたくなかったのもあるが…、多分、君のいる方角だったからだ。彼は最後まで勇敢に戦った」

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