第13章 巨人研究班
「ほら、これは先日の壁外調査の報告書だ。ラウラの絵は、さっそく挿絵として使用させてもらったよ」
文章がみっちりと書き込まれた隙間に、私の描いた奇行種の巨人の絵が印刷されていた。
油絵をそのまま印刷することはできないので、あの後もう少し簡単なタッチで描き直したものだ。
それに、ハンジ分隊長のリクエストにより、いくつか図を付け加えている。
この報告書と併せて、油絵の原画の方もエルヴィン団長が報告会議で使用するために持って行っている。
「おぉ!すごいですね!これは分かりやすい」
ハンジ分隊長の広げた資料を覗き込んで、エルドさんが声を上げる。
「活字だけのものと比べると、はるかに理解しやすい」と、グンタさんも頷いている。
「そうだろう?やはり、文章だけではイメージの共有を図るのは難しいからね。
どんな顔の巨人だったのかとか、どんな体格をしていたのかとか。
それを壁外に行っていない人間に正確に伝えられるというのは、非常に意味のあることだと思う」
ハンジ分隊長は満足そうに、そしてややうっとりとした目をして、報告書の中の巨人の姿を見つめた。
「さっそく今日の報告会議でこの資料が使われたんだ。
まだ団長はお戻りになっていないが、ピクシス指令やザックレー総統への説明も、とてもやりやすかったに違いない」
ハンジ分隊長の言葉を引き継いでモブリットさんは言うと、ポンと私の肩に軽く手を乗せた。
「ラウラ、これからもよろしく頼むぞ」
そう言って微笑んだモブリットさん同様に、ハンジ分隊長も微笑みながら頷いた。
リヴァイ兵長や皆も私を見ていた。
「はい!精一杯頑張ります!」
私は、(皆の期待に応えたい)と思って、大きく頷いたのだった。