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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第13章  巨人研究班


 巨人の絵をエルヴィン団長たちに見せてからすぐに、私にはハンジ分隊長率いる巨人研究班への所属が命じられたのだった。

 私が訪ねて行ったハンジ分隊長の研究室の隣には小さい資料室があったので、そこを整理して私のアトリエとして使用して良いことになった。

 普段それほど人の出入りがなく、隣の研究室から溢れ出た荷物のゴミ溜めのようになっていたその部屋は、入口の扉を開いた瞬間にホコリが舞い上がるような汚さだった。

「なんってザマだこりゃあ……早急に取り掛かるぞ」

 三角巾にマスク、エプロンと、なぜかフル装備をしているリヴァイ兵長が、マスクの上から僅かに覗いている鋭い目を細めて、お腹の底から響いてくるような声を出した。

「へ、兵長、何も兵長自らお出ましになることは無いのでは…?私一人でも片付けはできますし…ましてや先輩方のお手を煩わせるなど…」

 私は、ズラリと並んでいる先輩兵士たちの姿を見て、恐縮のあまり冷や汗を流した。

「あ?お前は俺に、こんなクソ汚ねぇところで過ごせと言うのか?」

 ジロリと睨みつけられて、私は蛇に睨まれた蛙のように固まった。
 それから兵長の言葉の意味を少し考えて、嬉しくなったのだった。

 兵長は、私がハンジ分隊長に見せるための絵を描いている間、いつも隣で見ていてくれたのだ。





 大抵私は、中庭や宿舎玄関脇の待合室で絵を描いていた。

 ハンジ分隊長に持っていく絵は油絵にしようと思っていたので、自室では描けない。
 何しろ油絵の具の匂いは独特で強烈だし、平たく言えば「臭い」からだ。
 そんなものを共同部屋でやり始めたりしたら、たちまち皆からひんしゅくを買うだろう。ただでさえ、あまり好かれていないのだから…。

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