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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第12章  変わり者


 きっと私は混乱して、ちょっとおかしくなっていたんだろう。
 パン、と自分の頬をビンタした。そのまま、パン、パンと左右から往復ビンタをする。

「あっ?!ラウラどうしたのっ?!」

 突然自分で自分の頬を叩き始めた私に、ギョッとした顔をしてハンジ分隊長が詰め寄ってくる。
 ハンジ分隊長は、2枚の絵を小脇に抱えてから、私の右手首を握った。左手首はエルヴィン団長だ。

 ぎゅっと、両方の手首を拘束されて、私は自分の頬を叩くことができなくなった。
 叩いた両頬がヒリヒリと痛む。
 心配そうに覗き込んでくるハンジ分隊長とエルヴィン団長の顔を見上げて、私は呆けたような顔をして言った。

「これは…夢ですか?」

「……え?」

 少しの沈黙の後に、部屋中に大きな笑い声が湧き上がった。

「あははははっ!!やっぱり君、最っ高だよ!!巨人と同じくらい可愛い!!」

「ははは!本当だ!こんなに素直な子は、中々いるもんじゃない!」

 ハンジ分隊長とエルヴィン団長が、お腹をかかえて笑っている。

 巨人と同じくらい…というハンジ分隊長の言葉に少なからずショックを受けた私だったが、それ以上に衝撃的な出来事に見舞われて、そんな思いも吹き飛んでしまった。

 いつの間にかミケ分隊長が背後に回っており、私の首元に顔を寄せてスンスンと匂いを嗅いでいた。
 あまりにも予想外のことに、私は別の意味でも硬直した。
 だが、そんな私の様子にはもちろん構うことなくミケ分隊長は匂いを嗅ぎ続けた後、顔をあげて「フッ」と鼻で笑ったのだった。

「お前からは油絵の具の匂いがするな。あと、変わり者のニオイもだ」


 私はただただキョトンとするしかなくて、背の高い3人に囲まれたまま、まるでぬいぐるみのようにもみくちゃにされていた。
 部屋の隅に立って様子を伺っていたモブリットさんだけが、オロオロと心配そうに私の事を見つめていたのだった。

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