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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第11章  もう二度と戻らない


「……残念だったな」

 と、たったそれだけの言葉だったけれど、話を聞き終わった兵長がポツリと言った言葉に、私は胸の重りがスルリと落ちていくような気がした。
 他のどんな言葉よりも短くてシンプルなその言葉に、ライデンとおばさんを失った私の心の痛みを理解してもらえたような気がして、不思議と気持ちが軽くなった。
 さっきまで悲しみで頭が破裂しそうになっていたのが嘘のように、穏やかな気持ちだ。

「お前にできることは何だ?
 俺以上に巨人を殺しまくれる兵士になることか?エルヴィン以上に奇抜な作戦を思いつける兵士になることか?」

 唐突に問われた質問に、私はドンッと胸の真ん中を射抜かれたような気がした。

「……巨人の絵を描ける兵士になることです」

 そう口にしてみて、改めて思った。
 そう…私は、兄さんとの約束を果たすため、巨人の絵を描くために調査兵団に入った。
 そして、壁外から生きて戻ってきた。ならば私がこれからすべきことは、泣くことじゃなくて、絵を描くことだ!

 真夜中だったけれど、すーっと瞳の中に明るい光が差してきたような気がして、私は兵長の方に勢いよく身体を向けた。

「私は、巨人の絵を描きます!描きたいんです!」

「そうだ。そしてそれをハンジや俺に見せるという約束がある。巨人の絵が描きたきゃ、死なねぇことだ。生きてなくちゃ、何も描けねぇんだからな」

 そう言った兵長の言葉が、いつかの日のライデンの言葉と重なった。

「はいっ!兵長っ、ありがとうございます!!」

 私は勢いよく立ち上がると、バッと敬礼をして歩き始めた。
 そんな私の様子に少し驚いたような表情を浮かべて、兵長が言った。

「オイオイ、てめぇはいつもそんな調子だな。意気込みは分かったが、とりあえず今はベッドに戻って目をつぶれ。巨人の絵を描くのは、明日からだ」

 そう言って兵長も立ち上がった。
 リヴァイ兵士長はとても小柄な人だと聞いていたけれど、それでも私よりかは背が高い。

 少しだけ上の位置にある兵長の顔をキョトンと見つめ返して、私はすぐに苦笑いしたのだった。

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