第3章 二人の主君
揺さぶってくる凧に対抗すべく、体全体の力を使って彼の方へ向きを変えた。
そのことで余計に速さが増し、気がつけば森の中に真っ逆さまに進んでいく。
「ぎゃ────────!!」
このまま森の木にでも突き刺さって死ぬかもしれない。
私はこの凧を使ったことを心底後悔し、死んだのちには成仏などせずしばらく佐助様に憑いてやろうとこの一瞬のうちに考えた。
地面に激突する前にギュッと目をキツく閉じる。
──次の瞬間、地面に激突した私の体は、再起不能に・・・・
なるはずだった。
「のわっ!!!」
・・・・予想よりも痛くない。
誰かの低いうめき声。
温かさ。
何だろう、これ・・・。
私はおそるおそる、目を開けてみた。
地面に激突したことは間違いなかったが、落ちた場所は幸いだった。
「てんめぇ・・・・」
「ま、ま、政宗殿!!」
落ちたのは、ちょうど政宗殿の馬の上。
すぐ目の前には政宗殿の顔があった。