第3章 二人の主君
佐助様ったら、なぜお館様と同じ事を言うのだ。
己の主君が二人いる。
・・・私の心など、皆お見通しなのだ。
「佐助様、私は・・・」
「はいはーい、二択だよ。このまま俺らと旦那を追っかけるか、それをすっ飛ばして先頭の竜の旦那のところへいくか」
佐助様は変なことを言う。
仮に政宗殿を追うとしたって、昨晩出ていった政宗殿には追い付けぬだろう。
一体どうするというのだ。
「佐助様。政宗殿はもう尾張に近づいていると思います。とても追い付けません。空でも飛んでいかぬかぎりは・・・」
あっ・・・
「そ。こういう時が使いどころでしょ?うちの飛行忍具。もっともー、まだ改良中だからちゃんと飛べるか分からないけどね」
佐助様に言われて思いだし、懐から笛の形をした飛行忍具を取り出した。
ここに息を吹き込むと、途端に凧が開いてまっすぐ空を飛べるのだ。
「・・・私、先に参ります。」
「うん。気をつけてね。俺らもすぐ追い付くからさ。」
「はいっ!!」
伊達軍と武田軍。
どちらも尾張に向かって動き出す。
それぞれの胸に信念を抱き、魔王を討ち果たすために。