第3章 二人の主君
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昨晩は不思議な夢を見た。
まさかお館様が夢に現れ私を諭すなど、自分は本当にお手間を取らせる家臣だとつくづく反省する。
「佐助様。・・・幸村様はどこですか?」
「紫乃! それがさぁ、一人で出てっちゃったみたいなんだよね」
「えぇ!?」
朝起きると、幸村様かいないことに皆が騒いでいた。
ここへ来ていなくなるなんて、どうしたというんだ幸村様。
幸村様のお考えがまったく分からぬ。
「なんか夢にお館様が出てきたとか、やるべきことは魔王討伐だ、とか言ってさ。・・・まあ奮い起って魔王を倒す気になってくれたのは嬉しいんだけど、大丈夫かな旦那・・・」
幸村様・・・。
そうか、お館様は、幸村様のところにも・・・。
「さてと。俺たちは旦那を追って出陣するけど、紫乃はどうする?」
「もちろん私も行きます! 」
「・・・そうじゃなくてさ。誰を追っていくの?」
「・・・っ・・・」