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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第3章 二人の主君




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その夜、紫乃も夢を見ていた。

霧のたちこめる自身の心と同じ、暗く出口のない世界。

そこに信玄が現れる夢。

幸村と同じ夢だった。


『お館様・・・!』

『紫乃、ずいぶんと暗い顔をしておるではないか』

『・・・申し訳ございませぬ、お館様。このようなことになり、私は武田のために何のお役にも立てなかった。それが痛いほど分かりました。・・・もう、お館様のおそばを、幸村のおそばを離れませぬ』


信玄はわずかなため息をついた。

まったく幸村に似ている、素直な心根だ、と。

良い意味でも悪い意味でも、そう感じたのだ。


『紫乃、自分を偽るでないぞ。』

『・・・偽る・・・?』

『己の主君。それは生まれついて決められているのではない。己の信ずる者が誰なのか、それは自分で決めることじゃ』

『・・・信ずる者、それは間違いなくお館様、そして幸村様でございます。何も偽ってなどおりません』

『では、お主も、わしの枕元でわしの目覚めを待つこと、それが最善と思うておるのか?』

『・・・それはっ・・・』

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